成田で「温泉のあるホテルに泊まりたい」と思ったとき、候補に挙がるのがインターナショナルリゾートホテル湯楽城。もとはデルタ航空の拠点だったラディソンホテル、いまは中華資本が総工費25億円をかけたという温泉テーマパーク「東京湯楽城」を抱える、なんとも不思議なホテルです。今回はプレミアムスタンダードツインに家族で1泊。豪華すぎる目玉施設も、正直に古さの残る部分も、そして肝心のお風呂の本音も、実際に撮った写真とあわせてどうぞ。
01QUICK INFO
湯楽城のクイック情報
ホテル情報
- 系列
- 株式会社シーエイチアイ(CHI・直営)
- 住所
- 千葉県富里市七栄650-35(JR・京成成田駅から路線バス約26分)
- 客室数
- 490室
- 開業/沿革
- 2022年9月「湯楽城」として(前身は1978年開業のラディソンホテル成田エアポート → 2016年CHIグループへ → 2022年リブランド・客室改装)
- 公式
- 公式サイトあり(送迎時刻・最新料金は公式でご確認ください)
- 価格帯
- 時期・プランで変動(比較的リーズナブル。最新は公式・予約サイトで)
もともとは1978年開業のラディソンホテル成田エアポートで、当時の運営はデルタ航空。成田をアジアの拠点にしていた時代の、華やかな外資系ホテルでした。デルタの成田撤退が決まったのち2016年にCHIグループへ売却され、その跡地に、インバウンド向けの「これでもか」というほど豪華な施設として生まれ変わっています。名前は「インターナショナルリゾートホテル」、その心臓部が温泉テーマパーク「東京湯楽城」です。
今回の宿泊メモ
- 宿泊
- 2022年10月下旬(ハロウィンの季節/家族・子連れ)
- 部屋
- プレミアムスタンダードツイン(エキストラベッドを1台追加)
- 夕食
- ハロウィンフェアのディナービュッフェ
- 朝食
- ビュッフェ(提供形式・フェアは時期で変わります)
- 目当て
- 目玉の温泉テーマパーク「東京湯楽城」
- 予約
- 公式サイト・各予約サイトから
02REVIEW
総合レビュー
先に率直な評価を。設備(とくに温泉テーマパーク)と値ごろ感は文句なし。一方で、立地は正直に低めです。空港からも駅からも「かなり遠い」ので、この界隈のホテルの中でも移動のハードルは高め。お部屋やお風呂そのものは、豪華な外構に比べると「普通」で、古さも残ります。星は元の印象そのままに、甘くせず付けました。
良いところ
- なんといっても豪華な温泉テーマパーク「東京湯楽城」が目の前にある
- 施設のわりにお値段が比較的抑えられていて、お財布に優しい
- コンビニ(セブン-イレブン)が館内に併設されていて便利
- 屋内プールが無料。ビート板や浮き輪の貸し出し付きで、子連れにうれしい
気になるところ
- 空港・駅ともにかなり遠い(送迎バスはあるが、気軽に行き来はできない)
- 古さは否めない(客室・水回りは相応に年季が入っている)
- インバウンド向け感が強すぎて、日本人としては少し複雑な気分になる(完全に個人の感想です)
このホテルの面白さは、その来歴にあります。アメリカ資本の華やかなラディソンとして始まり、デルタ航空の成田拠点として機内食工場やクルーの宿泊も担っていた場所。それがいま、中国資本のインバウンド向けリゾートへと姿を変えている——成田という土地の移り変わりと、日本の栄枯盛衰をそのまま映したような一軒です。「インバウンド向け感が強すぎて、日本人としては少し複雑な気分になる」というのは正直な本音ですが、だからこそ一度は見ておく価値がある、とも思います。ほかの成田ホテルとの比較は
にまとめています。03ACCESS
空港からのアクセス
正直に書きます。ここは空港からも駅からも、かなり遠いホテルです。地図で見てもらうとわかりますが、インバウンドの団体でなければ、なかなかわざわざ足を運ばない立地。そのぶん敷地は広々としていますが、アクセスはかなり不便です。
移動は送迎バスが基本になります。バスは成田空港(第1・第2ターミナル)と成田駅から出ています。路線バスを使う場合は、JR・京成成田駅からおよそ26分。早朝便・深夜便に合わせて動く場合は、送迎バスの本数と時刻を必ず事前に公式で確認してください(発着時刻はダイヤ改定があるため、ここでは断定しません)。空港での過ごし方や両替の準備は、
も参考にどうぞ。04EXTERIOR & LOBBY
外観・ロビー
到着してまず目に入るのが、田園のなかに立つ白い高層棟。車寄せには、いつも白い送迎バスが停まっています。旧ラディソンだけあって、建物のスケール感は立派です。
ロビーは、さすが元ラディソンと言いたくなる素敵な空間。訪れたのがハロウィンの時期で、墓石やかぼちゃの撮影スポットまで用意され、かわいくデコレーションされていました。
05ROOMS
お部屋(プレミアムスタンダードツイン)
今回泊まったのはプレミアムスタンダードツイン。エキストラベッドを1台足しているので、窓際のスペースがやや狭いのは、そのためです。明るい色使いで、パッと見の印象は悪くありません。
部屋自体はやや古さを感じますが、清掃はきちんとされていて、快適に過ごせました。うれしいのは眺め。お部屋からは、屋外プールとのどかな田園風景が見下ろせます。
水回りは、確かに古いです。ただ、こちらもよく清掃されていて不潔さはありません。それに、お風呂は目の前の湯楽城へ行くので、正直あまり気になりませんでした。
アメニティはかわいくラッピングされたミニボトルと、オーガンジー袋に入ったセット。子供用のおしぼりまで用意してくれていました。しかもタオルは、部屋から持ち出さなくても湯楽城で貸してもらえるし、部屋のタオルは部屋の分として使ってよいとのこと。こういうところは、中華系らしい太っ腹で気持ちがいいです。
ベッド・室内
明るい色使いのツインに、エキストラベッドを1台。窓際は少し狭くなりますが、パッと見の印象は悪くなく、清掃も行き届いていました。
水回り・バス
洗面台・便座・バスタブが一室に収まるユニットバス。相応に古さは残りますが清掃はしっかりされていて、お風呂は目の前の湯楽城で入るので、あまり気になりませんでした。
設備・ミニバー
クローゼットにはアイロンやスリッパ、キャビネットには空の冷蔵庫。電気ケトルとコーヒー・紅茶のセットもひととおりそろっています。
アメニティ・備品
歯ブラシや石鹸に、ミニボトルのバスセット、そして子供用のおしぼりまで。かわいくラッピングされていて、こういうところは太っ腹で気持ちがいいです。
室内・その他
壁の抽象アートパネルが効いた明るい室内。ベッドには館内着とタオルがきちんと畳まれ、広い敷地の案内マップも用意されていました。
客室階の廊下は、青い波模様のカーペットが奥へと続く、少しレトロな雰囲気でした。
06FACILITIES
館内設備
敷地がとにかく広く、温泉施設以外にも「1日楽しめる」設備がそろっています。
- コンビニ(セブン-イレブン):館内に併設。ATMや千葉県のお土産も並び、前泊・後泊の買い出しに便利です。
- 屋内プール(宿泊者は無料):三角トラスの天窓から自然光が差し込む明るいプール。ビート板や浮き輪の貸し出し付きで、子連れでも入りやすい雰囲気でした。
- サウナ:屋内プールに併設。10月で少し肌寒くても、寒くなったらサウナで温まる、を繰り返して子供たちは大はしゃぎでした。
- フィットネスジム:立派なマシンがずらり。今回は利用しませんでしたが、設備は本格的です。
- キッズスペース:ロビーそばにプレイルーム。滑り台やボールプールがあり、子供ウェルカムな雰囲気です。
屋外には大きなプールもあります。訪れた10月はシーズンオフでシートがかけられていて、この年の夏はコロナの影響で開放されていなかったそうですが、夏に解放されたら、子供たちにはパラダイスでしょうね。敷地にはテニスコートやグラウンドまであり、ホテルそのものは地味でも、温泉施設を含めて丸1日遊べるつくりになっています。
07DINNER
夕食(ハロウィンフェアのビュッフェ)
夕食はディナービュッフェ。会場はアットホームな雰囲気です。開催フェアは訪問時期で変わり、この日はハロウィンフェアでした。
ネーミングがとにかく愉快で、ゴーストカレー(真っ黒なビーフカレー)に、イカ墨モンスター(イカ墨のブラックスパゲッティ)、地獄ライスコロッケ……いったい誰が考えたのでしょう。見ているだけで楽しくなります。
ライブキッチンではローストビーフを切り分けてくれます。全体としてはそこまで種類が豊富なわけではありませんが、バランスよく、ちょうどよい品ぞろえ。個人的にはパンプキンスープがお気に入りでした。デザートもハロウィン仕様でかわいく飾られていて、目でも楽しめます。
メイン・温菜
ケール入りマッシュポテトのコルカノンに、スパイシーフライドチキン。種類はそう多くありませんが、バランスよく、ちょうどよい品ぞろえでした。
パン・サラダ・スープ
スープコーナーには、私のお気に入りだったパンプキンスープ。ハロウィン仕様のパンプキンミートピザや、彩り豊かなサラダバーも並びます。
ご飯・麺・和食
炊きたてのご飯の横に、真っ黒な「ゴーストカレー」と「地獄ライスコロッケ」。愉快なネーミングで、見ているだけで楽しくなります。
デザート・フルーツ
ロールケーキやカヌレ、南瓜プリンがハロウィン仕様にかわいく飾られ、目でも楽しめます。ソフトクリームマシンはこの日はお休みでした。
ドリンク
ソフトドリンクのディスペンサーはたくさんの種類から選べ、コーヒーや紅茶のコーナーも。子供用のカップも用意されていました。
会場・設え
保温器の並ぶカウンターに、木製のテーブルが整然と。アットホームな雰囲気で、子供用の食器までそろっています。
その他の料理
ライブキッチンではローストビーフを切り分けてくれます。「イカ墨モンスター」ことブラックスパゲッティや、スペアリブ、マカロニチーズも並びました。
なお、湯楽城の館内にもお食事処があるので、そちらで食べるのも一興です。
08BREAKFAST
朝食
朝食も、夕食と同じ会場でのビュッフェ。シンプルに、バランスよく、適度な量という感じでした。
夕食のようなライブキッチンはありませんが、そのぶんお値段は抑えめ。ご飯のお供、おひたしや漬物が豊富で、これはこれで十分に満足のいく内容でした。オムレツや目玉焼きは保温台からセルフで取るスタイルです。
メイン・温菜
焼き魚や厚焼き玉子の和惣菜に、ソーセージやベーコン、スクランブルエッグ。和洋どちらもそろい、取り分ければバランスのよいワンプレートになりました。
パン・サラダ・スープ
本日のスープはミネストローネ。パンはクロワッサンやフレンチトーストまで種類がほどよく、サラダやシリアルもそろって、朝からしっかり食べられます。
ご飯・麺・和食
ご飯とお粥に、納豆や生卵、味噌汁。漬物やご飯のお供、煮物といった和のおかずが豊富で、これはこれで十分に満足のいく充実ぶりでした。
デザート・フルーツ
パンケーキやヨーグルト、杏仁フルーツといった甘いもの。個包装のヨーグルトはブルーベリーとストロベリーから選べます。
ドリンク
コーヒーや紅茶、緑茶に加えてソフトドリンクのディスペンサーも。飲み物はひととおりセルフでそろいます。
会場・設え
会場は夕食と同じ。カウンターにはハロウィンの飾りが置かれ、取り皿やお箸はセルフで取る形でした。
その他の料理
目玉焼きは保温台からセルフで。ミートボールや、冷蔵ケースのカットグレープフルーツ・オレンジもそろっていました。
09TOKYO YURAKUJO
東京湯楽城(目玉の温泉テーマパーク)
そして、このホテルの心臓部であり、泊まる最大の理由が温泉テーマパーク「東京湯楽城」。総工費25億円をかけて造られたといわれる、入り口からして桁違いに豪華な施設です。
まず出迎えてくれるのが、堀にかかる木の橋と、ライトアップされた建物、そして噴水のショー。流れている曲がやたらとポップで(どこかの男性アイドルの曲でしょうか)、厳かな噴水とのミスマッチ感が、逆に良い味を出していました。
受付ではタオルと浴衣を渡してくれます。料金を払っている子供にも、子供用の浴衣とタオルが。ロビーは「超高級ホテルに来たのかな?」と錯覚するほどの雰囲気です。浴衣に着替えて、暗くて雰囲気のある足湯を通り抜けると、小江戸風の広場にたどり着きます。
広場でまず目に入るのは、ハロウィンの飾りと甲冑。大江戸温泉がモデルというだけあって、完全にエンターテインメント施設です。天井のプロジェクションマッピングでは、くじらが泳いでいて、なぜか神社まで存在する不思議な空間。江戸情緒とこのギラギラ感、違和感はすさまじいのですが、だからこそ面白い。このド派手な発想は、なかなか日本人からは出てこないでしょうね。
畳敷きのお食事処もあり、広い座敷でゆっくり食べるのも気持ちがいい。子供が遊べるコーナーや、漫画が読めるリラックススペースまであって、なんだかんだで一日楽しめます。ひとつだけ言えば、流れている音楽がやたら大音量のJ-POPで、ここは笛や太鼓の音色であってほしかった…!
さて、肝心のお風呂です。ロビーやほかの施設があまりに豪華だったので、お風呂もさぞ…と期待してしまったのですが、正直に言うと「まあ普通」といった印象でした。露天にはつぼ湯があり、お風呂そのものは良かったのですが、種類はそんなに多くありません。スーパー銭湯として見ると少なめ、ホテル併設のお風呂と考えればしっかりめ、という塩梅です。ここはお風呂を期待して行く場所というより、複合エンタメ施設としての面白さを楽しみに行く場所だと思います。
私たちが訪れたときは、心配になるくらいガラガラでした。そのぶんお風呂も混んでおらず快適で、これはこれで贅沢。中国からの観光客が戻ってくれば、きっとまた賑やかになるのでしょう。
10WRAP-UP
さいごに
かつてはデルタ航空の日本の本拠地で、アメリカ資本の華やかなホテル。いまは中国資本のインバウンド向けリゾート。時代の栄枯盛衰と移り変わりを、これほど感じさせる場所も珍しいです。
湯楽城は、日本人が思い描く「静かでリラックスできる温泉」とはまったく別物。けれど、大型の複合エンターテインメント施設として割り切れば、家族でしっかり楽しめます。スタッフの方はみなさんきちんとしていて、好感の持てる人ばかりでした。私たちが泊まったときはすいていたので、ゆっくり味わいたいなら、比較的すいている時間帯を狙うのがおすすめです。
価格帯や送迎バスの時刻、東京湯楽城の営業時間・料金は時期で変わります。最新は公式サイト・各予約サイトでご確認ください。
お風呂を期待しに行くのではなく、「非日常」を体験しに行く一軒でした。
